歴史書の棚 「署名」か「はんこ」か 印判に見る出色の日本人論=今谷明
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親族の一人でも亡くなると、その後の手続きは面倒なことになる。署名には多く実印を求められるから、印鑑登録から始まり、印鑑証明を要し、相続ともなると兄弟の印鑑まで集めなければならないこともある。
このように我々の生活には印判はつきものであるが、欧米ではサイン(我が国中世の花押(かおう)─署名の一種)で済ませる国も多い。評者も数十年前、国家公務員在任時に、上司のキャリア官僚が花押で署名していたのを幾度も見た。
門田誠一著『はんこと日本人』(吉川弘文館、2200円)は、このような現代日本の“印判主義”がいつ頃から成立したのか、古代にさかのぼって印判と日本人の関係性を論じた興味深い“日本人論”といえる。
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週刊エコノミスト
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