極右・ポピュリズム委員長誕生か 注目される欧州議会選挙の行方=金子寿太郎
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欧州議会は、欧州委員会や閣僚理事会とともにEUルールの立法に関わる主要な共同体機関の一つである(図)。欧州議会選挙は、欧州議会の会派構成の変更を通じて、欧州委員会委員長(欧州委員長)のような枢軸ポストの人選に大きな影響を持つ。
EUは、難民・移民問題の新たな高まりを受けた極右やポピュリズム(大衆迎合主義)の台頭のあおりから、求心力を弱めている。イタリアでポピュリスト政党の「五つ星運動」と極右政党の「同盟」による連立政権が発足したことが大きな転機となった。9月9日には、これまで難民や移民に寛容と思われていたスウェーデンにおける総選挙で、いずれの党も過半数に届かない中、反移民を掲げる極右「スウェーデン民主党」が伸長した。
さらに、各加盟国のEUに懐疑的な極右・ポピュリスト政党は、欧州議会選挙での議席増加に向けて共闘体制を整えつつあり、EUの将来に大きな影を落としている。来年3月に英国のEU離脱(ブレグジット)が予定されているなど緊迫した状況の下で、欧州議会選挙は、従来にも増して重要なイベントになると考えられる。
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週刊エコノミスト
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