自動車棚上げの日米貿易交渉 協定発効は来年以降に=山本大介
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「貿易赤字は不公正貿易の結果」と主張するトランプ政権により、米国と各国間で「貿易戦争」が起こっている。日米間は日米物品貿易協定(TAG)交渉開始の合意により小康状態だが、今後、両国間貿易はどのような影響を受けるのか。各国との協議過程を振り返りつつ検証したい。
米国は2017年に1兆5463億ドル(約170兆円)を輸出、2兆3420億ドル(約257兆円)を輸入して、差し引き7957億ドル(約87兆円)の貿易赤字となっている。赤字相手国の1位は中国で3430億ドル(約37兆円)。以下、メキシコ▽日本▽ドイツと続く(図)。日本からの輸入は1365億ドル(約15兆円)で、このうち完成車、自動車部品などの自動車類が506億ドル(約5兆円)と、3分の1以上を占める。輸出は676億ドル(約7兆円)で、航空機類が58億ドル(約6380億円)、液化天然ガス(LNG)などの鉱物性燃料が55億ドル(約6050億円)などとなっている。
米国の通商交渉は通商拡大法232条と通商法301条を根拠としている。通商拡大法232条は、安全保障上の脅威を根拠に制裁を行うもので、商務省が判断する。世界貿易機関(WTO)も、この輸入制限は例外的に認めており、トランプ政権は鉄鋼とアルミニウムについて232条を適用した。このように、政権内部にはこれを「経済安全保障」として拡大解釈する向きもある。一方、通商法301条は、貿易相手国の不公正な貿易慣行…
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週刊エコノミスト
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