海外出版事情 アメリカ 女優の自伝と#MeToo運動がシンクロ=冷泉彰彦
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アメリカでは、セクハラ、パワハラ行為への告発が「#MeToo」運動として影響力を持ち始めている。そんな中、一人の女性の自伝が、この運動の精神的支柱として読まれ、話題となっている。
著者は、サリー・フィールド。「ノーマ・レイ」(1979年)、「プレイス・イン・ザ・ハート」(84年)で2度アカデミー主演女優賞を受賞しており、その後に演じた「フォレスト・ガンプ/一期一会」(94年)の母親役、「リンカーン」(2012年)のリンカーン夫人役も評価が高く、日本でも著名だ。
彼女が18年9月に刊行した自伝『In Pieces(人生の断片)』は、ゴーストライターなどの手は一切借りずに7年の年月をかけて執筆したもので、71歳の彼女にとって人生の総決算ともいえる内容だ。本書がどうして「#MeToo」運動とシンクロして読まれているのかというと、例えば14歳の時に受けた性的暴力、17歳で経験した妊娠中絶などが克明につづられているからだが、その筆致は権利を声高に叫び、加害者を追…
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週刊エコノミスト
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