海外出版事情 アメリカ 究極の暴露本でホワイトハウス混乱=冷泉彰彦
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トランプ政権の内幕を描いた暴露本といえば、2018年の年初に出た『炎と怒り』が有名だ。だが、同年9月11日発売の『恐怖』(ボブ・ウッドワード著)のインパクトは、はるかに大きなものとなりそうだ。
まず著者の「格」が違う。『炎と怒り』のマイケル・ウォルフは無名のライターだったが、ボブ・ウッドワードは、1973年から74年にかけて、『ワシントンポスト』紙の若手記者として、ウォーターゲートの暴露を行った「伝説のジャーナリスト」である。同僚のカール・バーンスタインとの共著『大統領の陰謀』(74年)はベストセラーとなり、映画化もされた。バーンスタインと共に、一連の取材活動に対してはピュリツァー賞も授与されている。
その後のウッドワードは歴代のホワイトハウスに対して、膨大な取材を続け、数年ごとに政権の核心に迫るようなドキュメントを発表してきた。特に、ジョージ・W・ブッシュ政権においては、3冊のドキュメントを出版し、最終的にはイラク戦争の失敗など混乱する政権の内幕を暴いて話題となっている。
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週刊エコノミスト
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