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教養・歴史 Book Review

『バブル経済とは何か』 評者・平山賢一

著者 藤田勉(一橋大学教授) 平凡社新書 880円

崩壊の予兆を的確に読みリスクをチャンスに

 本書は、従来の筆者の主張「バブルは10年に一度やってくる」を基に、その時期が近づきつつあることを大胆に表明したものである。グローバル金融危機から10年を経て、株式市場も堅調に推移してきているだけに、投資家のみならず企業経営者やビジネスパーソンにとっても関心が高い問題である。これまでの株価上昇基調が途切れ、金融市場が混乱するならば、我々はどのように対応すべきなのか、非常に関心の高いテーマであると言えよう。

 筆者は、米国でサブプライムローン(信用力の低い低所得者向け住宅ローン)バブル崩壊から10年の年月が経過した現在、バブル発生の経済的条件がそろってきていると警告している。「シェール革命による原油価格の下落、アマゾンに代表されるeコマース(電子商取引)の発達などによって、好況下でも、世界的な低インフレ、そして低位金利が続いている」ため、バブルの3条件である好景気、低インフレ、低金利の長期化が続いてい…

残り726文字(全文1175文字)

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