小説 高橋是清 第17話 唐津からっぽ=板谷敏彦
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(前号まで) 赴任した唐津の洋学部が放火によって焼失、再建に奔走する是清は優秀な生徒と外国人の接点を作るなど、画期的な英語教育を試みるが、酒びたりの日々をやめられない。
明治5(1872)年、年末年始を酒びたりで過ごした是清は、始業式翌日、1月8日に喀血(かっけつ)した。この時代、血を吐けば不治の病が通り相場だが、この男の場合、原因は酒の飲み過ぎなので、学校の2階の居室で1週間も寝込むと回復した。
是清が起き上がって階下へ下りると、小参事や教員たちが性懲りもなく鳥鍋を囲んで一杯やっている。
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