小説 高橋是清 第20話 デビッド・マレー=板谷敏彦
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森有礼の計らいで文部省に入りデビッド・マレーの通訳となった是清は、征韓論をめぐり政局が混乱する中、同じ長屋に住む東京日日新聞の末松謙澄と酒を飲み、議論する日々を過ごしている。
是清の記憶では、当時の文部省は西郷従道(じゅうどう)の管轄だった。文部大輔(たいふ)には田中不二麿(ふじまろ)がついていた。大輔は現代の次官に相当する。田中は明治の高官にしては珍しく徳川御三家の尾張藩出身の尊皇攘夷の人で、やがて子爵にまで上りつめる。連載一覧
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週刊エコノミスト
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