「消費税10%」後の財源を考える=佐藤一光 学者が斬る
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社会保障の保険料 逆進性の解消を
2019年度の予算編成が大詰めを迎え、政府は来年10月に予定されている消費税率10%への引き上げを「リーマン・ショック級の出来事が起こらない限り、基本的には引き上げる」と予定通り実施する考えを強調している。国民の生活を圧迫する負担増に対しては慎重に議論を積み重ねる必要があるものの、仮に予定通り税率が引き上げられたとしても、財政赤字を解消して予算編成が正常化されるまでは程遠い。政府が7月に経済財政諮問会議に提出した「中長期の経済財政に関する試算」によると、20年度の国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)は8.9兆円の赤字であり、成長実現ケースでは27年度にPB赤字を解消できるものの、足元並みの経済成長を仮定したベースラインケースではPB赤字解消は困難であることが示されている。
同試算では中長期的な国と地方の歳出について「社会保障歳出は高齢化要因や物価・賃金上昇率等を反映して増加し、それ以外の一般歳出は物価上昇率並みに増加」すると想定している。このことは、実質GDP(国内総生産)が増加する中であっても、社会保障以外の歳出は、物価上昇を除いた実質値では増加させずに、政府支出の対GDP比を引き下げるということを意味している。このような歳出抑制策にもかかわらず、政府がPB赤字…
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週刊エコノミスト
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