『沖縄報道 日本のジャーナリズムの現在』 評者・新藤宗幸
有料記事
著者 山田健太(専修大学教授) ちくま新書 900円
「沖縄ヘイト」に見るジャーナリズムの危機
「フェイクニュースだ」が、権力者の口から発せられる。そして「オルタナティブ・ファクト」が「真実」であるかのように流布する。これは外国のことではない。「沖縄報道」をめぐる議論に際立つ。本書は、新聞を主たる題材として、ジャーナリズムの姿勢を厳しく問うものである。
沖縄には地元紙としてシェアが拮抗(きっこう)する『琉球新報』と『沖縄タイムス』がある。日本の新聞は全国紙、地方紙(県紙)、地域紙の3層構造をとるが、沖縄での全国紙のシェアはきわめて小さい。地域紙は宮古・八重山諸島に存在するが、沖縄報道をめぐる議論の主たる対象は右の2紙の報道である。2紙はアメリカ軍政下の1945年と48年に生まれ、言論の自由を追求し、今日に至る。
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週刊エコノミスト
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