小説 高橋是清 第26話=板谷敏彦
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(前号まで)
教師職に加え翻訳業収入で羽振りのよい是清は、下宿先の主人茅野茂兵衛から銀紙相場の投機話をもちかけられる。政府が新紙幣を買い支えるので確実にもうかるというのだが──。
第26話 米相場
明治12(1879)年10月、是清は銀紙相場で大損した。それでも大学予備門教師、共立学校の校長に加え翻訳の仕事もあったので、まだ蓄えがあった。
是清が銀紙相場を始めた1月ごろ、采野(うねの)老人の仲買店にもよく顔を出した。そこで横田道太郎という相場を張る東京士族と昵懇(じっこん)になった。彼は後に共立学校の校長にもなる。
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週刊エコノミスト
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