資源・エネルギーエコノミストリポート

太陽光発電の新潮流 「卒FIT」で商機53万件 住宅・電機・自動車など名乗り=廣町公則

    2023年までには約165万件が買い取り期間満了に(太陽光発電施設を備えた住宅団地=滋賀県草津市)
    2023年までには約165万件が買い取り期間満了に(太陽光発電施設を備えた住宅団地=滋賀県草津市)

     住宅用太陽光発電を取り巻く環境が大きく変わろうとしている。2009年に始まった「余剰電力買い取り制度」によって、電力会社に余剰電力(太陽光で発電した電力のうち家庭で使いきれずに余った電力)を買い取ってもらっていた世帯が、19年11月より順次、10年間の買い取り期間の満了を迎えるのだ。

     同制度は12年に開始された「再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)」に引き継がれ、その後も太陽光発電の普及拡大を支えている。買い取り期間満了案件は、19年だけでも約53万件。20年以降も確実に増え続け、23年までには約165万件が満了となる見通しだ(図1)。買い取り期間満了案件は、総称して「卒FIT」案件と呼ばれ、近年、多方面から関心を寄せられてきた。今年に入り、いよいよ卒FITの到来が目前に迫り、新たなビジネスチャンスを求める機運が高まっている。

     太陽光パネルは、国の買い取り保証期間である10年を過ぎても、さらに10年、20年と発電し続ける。上述の165万件は、発電設備容量でみると合計約670万キロワットで、原発7基分にも相当する。その量は、以降もどんどん伸び続ける。しかも、卒FIT発電設備は文字どおりFITから卒業しているので、国民が電力料金の一部として負担している再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金、FITの原資)を要しない。住宅用太陽光発電が、最安値の再生可能エネルギーに生まれ変わるのだ。この電源を巡る各社のアプローチには、これまでの電力・太陽光関連ビジネスを超えた動きをみることができる。

     まず、卒FIT世帯の選択肢を整理しておこう。買い取り期間が終了した電源については、法律に基づく電力会社の買い取り義務はなくなるが、(1)「相対・自由契約によって余剰電力を売電する」ことができる。この場合、これまでと同じ電力会社に売電してもよいし、新電力(旧来の大手電力会社以外の小売り電気事業者)を含むさまざまな選択肢の中から売電先を選ぶこともできる。あるいは、(2)「家庭用蓄電池などを導入して、…

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