小説 高橋是清 第37話=板谷敏彦
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欧米出張の辞令が下り、明治帝に謁見。農商務省書記官に昇進した31歳の是清は2人の若者、吉田鉄太郎と串田万蔵とともに17年ぶりの米国へ向けて出立した。
第37話 ワシントンDC
明治19(1886)年新春、是清は九鬼在米公使に連れられて米国内務省と特許庁を訪問、特許庁のスカイラー・ズリー書記官に引き合わせてもらい、いよいよ特許事務の実地調査が始まった。内務省長官は是清のために随時入庁できる特別なパスを発行してくれた。
是清は帳簿の付け方から始まり、絵図面の取り扱い、書類の整理方法等々を手取り足取り教えてもらった。今日でいうトレーニー(研修生)である。
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週刊エコノミスト
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