国際・政治チャイナウオッチ 中国視窓

「市場心理」の安定に腐心 成長減速で比重増す宣伝活動=岸田英明

     3月15日に全国人民代表大会(全人代=国会)が閉幕した。全体を通じて、当局の厳しい経済環境認識とともに、経済の安定維持に注力するというメッセージが例年以上に強く打ち出されていた。

     力点は「六つの安定(雇用、金融、貿易、外資、投資、期待)」だ。このうち「中国らしさ」で注目されるのが「期待の安定」である。国民や内外の企業に「中国経済は安定成長を続ける」「中国で保有する株や不動産などの資産価値が暴落することはない」といった見通しを持ってもらうことを指す。全人代の前後、中国では「期待の安定こそが安定成長の重要な前提」といった見出しの記事が多数見られた。

    「期待の安定」を除く五つは、経済関連の省庁が政策的に対応する。一方で「期待の安定」の実現には、具体的な経済政策の策定と実行が重要なのはもちろんだが、体制全体で「中国経済は大丈夫」というメッセージを打ち出し、それを信じてもらうこと、つまり宣伝活動が必要となる。メディアはもちろん、大学やシンクタンクの研究者もそうしたメッセージを発信することが求められている。

     中国当局はこれまでも「期待の安定」を重視してきたが、2018年下半期に米中摩擦が深刻化。その影響が貿易などの実体経済に表れるよりも前に株価指数が下落したことで、当局者の間でセンチメント(市場心理)の重要性が再認識されるようになった。

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