インド 再生エネ導入目標に黄信号=中島政之
政府が掲げる再生エネルギー発電導入の目標達成が危ぶまれている。政策変更などに伴うコスト上昇を受け、2018年度に太陽光発電の新規導入が減速したことが背景にある。
政府は30年までに全電源に占める再生エネの割合を現行の2割強から4割以上に引き上げる方針。それに先駆けて22年までに再生エネ発電の総容量を175ギガワットとする目標を掲げている。目標の半分以上、100ギガワットを目指す太陽光発電の導入実績は19年1月時点で約26ギガワット。新規導入は13年度以降に順調に拡大し、17年度だけで9ギガワットを達成したが、18年度は7ギガワット程度にとどまった。コスト増で事業入札の中止などが相次いだことが影響した。
政府は18年7月、中国とマレーシアの2カ国から輸入される太陽電池モジュールに緊急輸入制限を発動。同年末には、物品・サービス税導入後の太陽光発電事業に関する税率が明確化され、事業者に予想を上回る負担が発生したことも追い打ちとなった。輸入資源依存や大気汚染の軽減などを目的に再生エネを推進したい政府だが、専門家は「再生エネ開発は政策に大きく左右される」と指摘。政府に一貫した政策を呼び掛けている。
(中島政之・NNAインド版編集長)