週刊エコノミスト Online ワールドウォッチ
英国 新50ポンド札にナチスの暗号解読者=酒井元実
英国の新しい50ポンド札の顔として、第二次世界大戦中の暗号解読者であるアラン・チューリング氏の肖像が使われることが決まった。2021年からの流通を予定している。
チューリング氏は1912年生まれ。ケンブリッジ大学を、数学で優秀な成績を修めて卒業。その後、軍の施設で暗号解読機の開発などに携わった。ナチス・ドイツが使用した暗号の解読に貢献し、連合国の勝利につながったと評価されている。
英中銀のイングランド銀行は50ポンド札の顔を選定するに当たり、国民に広く意見を募った。6週間の応募期間中に23万件近くの意見が寄せられ、そこから約1000人を適格者として絞り、最終的にチューリング氏を選定したという。イングランド銀行のカーニー総裁は、「コンピューター科学、そして人工知能(AI)の父として、現在も多くの人々に恩恵を与えている」とチューリング氏の絶大な影響力を称えた。
新札が流通する21年には、現在推し進められているブレグジット(英国の欧州連合離脱)から、1年余りを経ているはずだ。50ポンド札は対ドル、対円で果たしてどのくらいの価値を持つお金となっているのだろうか。
(酒井元実・在英ジャーナリスト)