教養・歴史書評

『ナチス 破壊の経済』 評者・田代秀敏

    著者 アダム・トゥーズ(コロンビア大学教授) 訳者 山形浩生、森本正史 みすず書房 (上下巻、各4800円)

    「V字回復」の神話を精緻な事実検証で粉砕

    「ナチスは選挙によって合法的に政権を取り、たちまちドイツ経済をV字回復させた」──保守派も、リベラル派も、しばしばそう言う。

     だがナチスが選挙で単独過半数の議席を得たことは一度もなかった。ワイマール憲法の緊急事態条項を悪用し、反対する諸政党を強制的に排除して全権委任法を強行採決し、独裁的な権力を奪取したのであった。そもそもヒトラー体制は、適法性という基本的規範の順守を明らかに全く欠いていた。

     ナチスが「経済をV字回復させた」というのも神話である。

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