経済・企業 プロキシファイト
米ESG投資家らが積水ハウスに特別配当、自社株買い、米国上場を要求=編集部
積水ハウスのガバナンス(企業統治)改善や取締役就任を要求している米国のESG(環境・社会・企業統治)投資家らが、4月下旬に開かれる積水ハウスの株主総会で委任状争奪(プロキシファイト)に動き出したことが明らかになった。早ければ米国時間の3月2日にも、米投資家らは、プロキシファイトに向けての方針を公表する。新たな取締役の選任や、特別配当、自社株買いの実施などを求める。
編集部が入手した資料によると、株式の持ち合い廃止を提案しているほか、戦略的に意味のない保有株は売却し、その資金を株主や社員への還元に充てること求めている。具体的には、特別配当、社員への賞与の増額、自社株買い、再投資などを挙げ、これらの実施により国内外の投資家や株主の関心と利益を高める、としている。
地面師事件のマネロンも追究
2月17日には取締役選任とガバナンス改善を求め、米投資ファンドのチャート・ナショナルやスパウティング・ロック・アセット・マネジメントの幹部、ルネサスエレクトロニクスの社外取締役の岩崎二郎氏ら11人が会見を行った。
このなかには和田勇・積水ハウス前会長兼CEO(最高経営責任者)や、積水ハウスの現取締役である勝呂文康取締役専務執行役員、元常務執行役員の藤原元彦氏も含まれており、17年に東京・五反田で起きた55億円にのぼる土地不正取引、いわゆる地面師事件で阿部俊則会長(当時社長)ら現経営陣に責任があり、調査報告書の開示を拒んでいることや、マネーロンダリング(資金洗浄)を防げなかったことも追究している。
4月下旬に開かれる積水ハウスの株主総会で11人は、他の株主に対し、議案の賛同、議決権行使への賛同を求めるとしている。 野村証券金融工学研究センターによると、モノ言う株主(アクティビスト)の日本株保有額は15年6月から約5年で2倍に増加しているという。