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教養・歴史 書評

出版系コワーキングスペース続々=永江朗

 取次大手のトーハンが、コワーキングスペース(個人が任意で仕事に使えるオープンスペース)の事業を開始。その第1号店となる「HAKADORU(ハカドル)虎ノ門店」(東京都港区)が3月26日にオープンした。

 同店は誰でも利用できる非会員型の時間課金制を採用。料金は最初の20分が200円で、以降は20分ごとに300円に設定されている。書籍ダイジェストサービス「SERENDIP(セレンディップ)」の無料体験や、同サービスが選んだビジネス書や教養書の陳列・販売をするなど、出版取次らしい特徴がある。

 紙の書籍・雑誌の新刊市場は縮小し続けている。人口動態や社会のデジタル化を考えると、拡大に転じる可能性は今後も乏しい。取次各社は、文具・雑貨の導入や、新業態の開発などで紙の書籍・雑誌の“穴”を埋めようとしてきた。たとえばトーハンは19年に文具店「DELFONICS(デルフォニックス)」やノート「ロルバーン」などで知られる文具製造小売りのデルフォニックスを子会社化し、傘下の書店にも導入。「ハカドル」でも同社の文具・雑貨を置く。

 同じく取次大手の日販は、本をテーマにしたホテル「箱根本箱」、入場料制書店「文喫」を、それぞれ18年にオープンしている。

 書店とコワーキングスペースの組み合わせといえば、18年にできた「神保町ブックセンター」(東京都千代田区)が知られる。破産した岩波ブックセンターの跡地に、ブックカフェ、コワーキングスペース、会議室、オフィスからなる複合施設として開業した。

 コワーキングスペースを設置する書店も登場している。東急東横線・妙蓮寺駅近くの石堂書店(横浜市)は、店舗の2階に「本屋の二階」を今年2月にオープンした。出版社の三輪舎、建築・不動産の松栄とともに運営する。

 働き方の多様化とともに、コワーキングスペースは注目される施設の一つとなっている。カフェやファミレスを仕事場代わりにする人もいるが、電源やインターネット接続環境などで不満も聞く。コワーキングスペースの設置は、書店と利用者、双方にとってプラスとなるだろうか。


 この欄は「海外出版事情」と隔週で掲載します。

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