エルニーニョ&ラニーニャ現象(上) 貿易風の変化が起こす異常気象/7
有料記事
日本が数年おきに経験する冷夏や暖冬も、世界的に見れば循環的に起きている気象現象の一部である。そうした代表に「エルニーニョ現象」がある。南米ペルー沖で冬の海水温が平年より2〜5度ほど上昇する現象で、数年ごとに周期的に発生する。
エルニーニョ現象のない通常の年は、太平洋中央部で東風(貿易風)が吹いている(図の上)。この時、赤道付近の海の表面にある温かい海水は、貿易風に動かされて西へ吹き寄せられる。この結果、南米ペルー沖では、移動した表面の海水と置き換わり、深海から冷たい水が湧き上がる。
この深層水にはリンや窒素などが含まれており、プランクトンが大量に発生する。これらをエサにするカタクチイワシなどが集まり、この海域は世界有数の漁場となる。
残り716文字(全文1037文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める