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銀行がIT業界に参入? 自民党が進める金融規制緩和の正体【サンデー毎日】

林立する銀行の支店=東京都江東区で2019年2月16日、渡辺精一撮影
林立する銀行の支店=東京都江東区で2019年2月16日、渡辺精一撮影

「銀行グループへの規制について見直していく」 

自民党金融調査会が6月16日、公表した提言にある一文だ。

見直すべき理由は、銀行が「新たなビジネスモデル」を描く上で、現行規制が制約となっているからだとする。 

2日後、全国銀行協会の三毛兼承会長は記者会見で、銀行の業務範囲規制に言及した。

「お客さまのニーズは『金融・非金融といった従来の業態の垣根を越えたサービスをシームレス(継ぎ目がない)にワンストップで提供してほしい』といったものもあるのではないか。非金融事業者と金融事業者間でのいわば規制のイコールフィッティング(同一条件)が確保されることが必要ではないかと考えている」

両者が矛先を向けるのは、銀行法の「他業禁止規制」だ。

金融庁のウェブサイトにはその趣旨として、〈銀行が銀行業以外の業務を営むことによる異種のリスクの混入を阻止する〉〈銀行業務に専念することによる効率性の発揮、利益相反取引の防止〉とある。 

一方、他の業種が金融事業を始める例は多い。イオン、ソニー、セブン&アイ・ホールディングス、楽天などが銀行子会社を始めて久しい。

LINEの子会社は昨年、みずほ銀行と合弁の準備会社を設立し、今年度に新銀行を設立する予定だ。 

要は「銀行は儲かるIT(情報技術)ビジネスに参入できないのに、彼らは銀行を設立できるのは不公平だ」というわけだ。

メガバンクの幹部が言う。「近年、企業再生に関する案件について、銀行が事業会社に出資する規制が緩和されました。それでも『出資先企業の発行済み株式の最大5%』とする規制は残っています」 

銀行の経営環境は厳しさを増し、収益力の低下は著しい。

さらに金融とITを融合した新サービス「フィンテック」が進展する中、銀行の規制緩和を求める声が高まっているというわけだ。 

銀行の〝反撃〞が消費者にどんな利益をもたらすのか、注視すべきだ。

(森岡英樹)

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