ロサンゼルス 武器を持たない新組織発足へ=土方細秩子
ロサンゼルス市議会では6月16日、「武器を持たない、暴力犯罪以外の出動に対応する新たな組織」が提案され、賛成多数で可決された。黒人男性が白人警官に殺害された事件をきっかけに高まった警察の暴力的な取り締まりに対する批判の声に後押しされた形だ。
同市の新組織の規模や導入時期などは未定。市民からの期待がかかる新組織だが、実際に警察への出動要請があった場合、それが暴力を伴う緊急事態か否かを判断するのは難しいとの指摘や、たとえ軽犯罪でも相手が銃などを携行しており、抵抗してきたときに武器を持たない新組織がどのように自分たちの身を守ることができるのか、といった点など運用に当たっての懸念は多い。
一方、警察側は必要のない出動によって生じている負担を減らしたいとの意向があり、負担への臨機応変な役割分担ができる体制は歓迎する方針だという。例えばロサンゼルスには駐車違反取り締まりに特化した機関があり、民間委託やボランティアも活動している。全米最大級の警察組織であるロサンゼルス市警の改革には時間がかかりそうだが、市は「市民の信頼を取り戻すための改革に躊躇(ちゅうちょ)しない」としている。
(土方細秩子・ロサンゼルス在住ジャーナリスト)