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今後中国で「内乱」が発生する可能性について=立沢賢一

国家安全維持法に反対し、抗議する市民。7月1日のデモに参加するよう呼びかけた=香港・中環で2020年6月30日、福岡静哉撮影
国家安全維持法に反対し、抗議する市民。7月1日のデモに参加するよう呼びかけた=香港・中環で2020年6月30日、福岡静哉撮影

なぜ香港に国家安全維持法が導入されたのでしょうか?

中国の歴史は虐げられてきた民衆の蜂起と反乱の連続です。

歴代の統一王朝が衰退・滅亡する過程では、民衆や農民の生活が困窮し、その不満が高まると大きな内乱が起こるというパターンが繰り返し発生します。

中でも、1851年に清朝の中国で発生した「太平天国の乱」は、約2000万人が亡くなるという、人類史上最大の宗教的な農民内乱でした。

中国共産党が今、最も恐れているのは内乱だと考えられます。

現在、中国国内では経済発展に取り残された民衆による暴動が年間20~30万件ほど発生しているとも言われています。そして、中国共産党は内乱を鎮圧するために人民武装警察(武警)を150万人配備しているとされています。

2020年6月20日、李克強首相は中国人口14億人程の内の6億人が貧民層だと発言しました。最近では貧富の格差に絶望した中国人はキリスト教へ入信しているといわれ、中国政府が認めていない「地下教会」で活動する信者も加えると、キリスト教人口は1億人を突破しています。

中国共産党が宗教に対して不寛容であり、キリスト教徒を激しく弾圧しているのは、まさに「太平天国の乱」の様な歴史が繰り返されるリスクを恐れているからだと考えられます。

経済的に豊かな沿海部都市と比較して、格段に貧しい内陸部農村地区の人々の間では、中国共産党に対する不平不満がフツフツと煮詰まっており、いつキリスト教と結びついて大反乱が起こっても不思議ではない、まさに一触即発状態であるという見方もあるのです。

中国の「人民」は経済発展で自分たちの生活水準が上昇するならと、一党独裁体制をこれまでのところは許容してきました。実際、中国は鄧小平時代から強靭な経済発展を続けてきました。

1990年の中国のGDPは、日本のGDPの7分の1程度に過ぎなかったのですが、2010年には日本を超え、今や日本のGDPの2.5倍以上となっており、年々米国との差を縮める傾向にあります。

ただその成長は近年鈍化しており、新型コロナウイルスの影響によって世界経済が停滞する中、中国経済もまた停滞期に入ると思われます。

経済が好調であるから共産党に対して黙っていた都市住民も、今後生活水準が悪化する可能性があります。

彼らが体制に対して大規模なデモを起こし、それが農村部の暴動と連動するようなことになれば、中国全土で大動乱に拡大し9200万人の共産党一党支配は崩壊してしまうかもしれません。

新型コロナウイルス批判を逸らしたいが故に香港を弾圧?

2020年9月6日には香港で立法会選挙が予定されています。

立法会選挙で民主派議員が是が非でも過半数を獲得出来ないようにしなければならないというのが中国共産党のスタンスです。新型コロナ感染拡大予防で香港デモが規制され、外国人の渡航制限も継続されている今こそ、力尽くでデモ参加者を一網打尽にできるタイミングだと中国共産党は判断したと思われます。

また国際世論の「新型コロナ」責任追及を逸らしたいという中国共産党の思惑も透けて見えます。

米国、オーストラリア、インド、トルコ、ポーランド、アルゼンチンなどで、中国に新型コロナの損害賠償が提起されています。『香港経済日報』によりますと、賠償請求の総額は、2020年4月29日時点で、100兆ドル以上、中国のGDPの7年分に相当するとされています。

習近平氏には新型コロナの賠償問題に関する国際社会の関心や世論の責任追及を逸らす必要もあったのだと考えられます。

立沢賢一(たつざわ・けんいち)

元HSBC証券社長、京都橘大学客員教授。会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、ゴルフティーチングプロ、書道家、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資家サロンで優秀な投資家を多数育成している。

Youtube https://www.youtube.com/channel/UCgflC7hIggSJnEZH4FMTxGQ/

投資家サロン https://www.kenichi-tatsuzawa.com/neic

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