教養・歴史 書評 『戦争の歌がきこえる』 佐藤由美子著 柏書房 1700円 2020年8月21日 『戦争の歌がきこえる』 佐藤由美子著 柏書房 1700円 「忘れたくても忘れられない記憶こそ、人生の最期によみがえるのだ」。米国のホスピスで音楽療法士として働く著者は、戦争の記憶に苦しむ患者に出会う。米軍兵士として、原爆プロジェクトのメンバーとして、ユダヤ人として、中国人として第二次世界大戦を生き延びた彼らと関係を結び、出来事を調べることを通じて、著者が日本人として培ってきた戦争にまつわる記憶は、複眼的なものへと変化してゆく。静かな筆致が変化の追体験を促す。(A) 前の記事 7月23~29日(ビジネス/ノンフィクション) 次の記事 電子出版のシェアが2割強に=永江朗 文字サイズ 小中大 印刷