非上場企業投資 宇宙、代替肉、無人店舗 富裕層が注目するユニコーン=スピリドン・メンザス
ここ数年、上場株中心に運用する海外の大手機関投資家が、非上場株の運用比率を引き上げている。中でもユニコーン企業(企業評価10億ドル超の非上場企業)は、既にビジネスモデルが確立しており、投資の出口戦略についても、M&AやIPO(株式の新規公開)を見通せる場合が多い点などが注目されている。米Forge社のリポートは、2019年以降の大型IPO(対象24社)で見た20年9月末時点の投資収益の単純平均が、IPO投資の187%に対し、IPO直近の資金調達ラウンドからの投資では1064%だったと報告している。(マーケット総予測2021)
これを「プレIPO投資」と見る向きもあり、国内では地銀や一部の富裕層も着目し始めた。だが、説明のつきにくい企業評価も散見される。従来の非上場企業投資同様、運用者の目利きや情報収集力が重要だ。以下、今年注目の投資テーマを紹介する。
(1)宇宙ビジネス
国家から民間へ担い手がシフトし、宇宙は地上から仰ぎ見るだけの空間から無限に広がるマーケットへと変貌した。そして今や、そのマーケットにアクセスできるプラチナチケットを最前列で手にするのは、世界最先端の技術を持つスタートアップ企業である。
(2)代替肉製品(フードテック)
欧米では人口増加やSDGs(国連の持続可能な開発目標)の理念や意識を共有する消費マーケットが急拡大している。その代表格が代替肉・代替卵製品だ。米国では全国で販売され、販売5カ月で分野別売上高トップとなった商品も。既に消費者の受け入れ段階は完了し、成長期に入った。
(3)サイバーセキュリティー
コロナ禍により延期されたオリンピックは、ハッカーからも大きな注目を浴びている。昨今のサイバー被害の急増ともつながっており、更なる警戒が叫ばれている。この分野で最先端を行くイスラエル系スタートアップ企業には注目が集まりそうだ。
(4)無人店舗
キャッシュレス化の波にコロナ禍が重なり、国内では小売店舗のDXが中堅事業者にまで広がりつつある。さらに先行する流通大手は無人店舗の展開も始めており、大きな動きがありそうだ。
(スピリドン・メンザス 【Spyridon Mentzas】・HiJoJo Partners代表取締役)