積み立て投資 確定拠出向けは積極運用型が優位 つみたてNISAは指数連動型=高瀬浩
税制優遇を受けながら長期投資できる確定拠出年金(DC)制度の企業型DCと個人型「iDeCo(イデコ)」、積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)への関心が高まっている。こうした中、両制度で購入できる投資信託ではどういうファンドが好成績を残しているのか。「コツコツ投資効率」を測って比べてみた。(今から始める投資信託)
ファンドの運用成績の評価では一般に、過去に「一括投資」したリターンをリスク(価格の変動率)で割って計算する「運用効率(シャープレシオ)」という指標を用いるが、両制度で基本となる「積み立て」で投資したリターンに置き換えたのが「コツコツ投資効率」だ。数値が高いほど、運用で取ったリスクに見合うリターンを効果的に獲得したと評価する。
DC専用とつみたてNISA対象の商品のうち、2020年末時点で3年以上運用しているファンドのコツコツ投資効率を計測し、主な投資対象を日本株・海外株・バランス型の三つに区分した上位をまとめた(表)。
その結果、つみたてNISAでは、日経平均など国内外の指数に連動する投資成果を目指して運用する「インデックス型」が上位を占めた。
高リスクで効果大
これに対し、DC専用では市場平均以上の運用益を目指す「アクティブ型」が優位となった。同時に上位ファンドのリスクはインデックス型より高いのが目につく。高リスクだと基準価額が上下に大きく変動しやすい。だが、積み立て投資では高リスクのファンドの選択が時間分散効果で功を奏しやすくなる面がある。実際、コロナショックで基準価額が大幅下落しても、辛抱強く安値でコツコツ購入し続けた後に急回復した結果、投資効率が改善した。
例えば、中国株で運用するDC専用の「DCニュー・チャイナ・ファンド」の積み立て投資リターン(年率)は一括投資の2倍近い。同様に、比較的高リスクのファンドで積み立て投資のリターンが一括投資を上回っている(表の青色の網掛け部分)。
両制度で購入可能なファンドの違いから、DC専用ではつみたてNISA対象に比べ、こうした高リスクだが投資効果も高いアクティブ型が少なくなく、上位の傾向に違いが出たとみられる。
つみたてNISAの日本株型上位を日経平均連動型が占め、TOPIX(東証株価指数)連動型を引き離したことも注目される。海外株型では為替ヘッジするタイプが上位5本中4本を占めたのも特徴的だ。バランス型ではリターンは控えめながらもリスクを抑制したタイプが上位に並んだ。
もちろん、リスクを大きく取っても報われるとは限らないし、過去の投資効率が良くても将来の好成績が保証されるわけではない。アクティブ型優位といっても、DC専用は運営機関によって選択肢が限られる。
投資方針と運用コストに加え、投資効率も参考にして、自分が取れそうなリスクに応じたファンドを選び、コツコツと投資し続けたい。
(高瀬浩・QUICK資産運用研究所)