投資・運用今から始める投資信託

海外株投信にマネー集中 求められる「選球眼」=岡田英/加藤結花

     投資信託協会によると昨年1年間で、公募の追加型株式投信(上場投資信託を除く)に、2兆円を超える資金が流れ込んだ。株価上昇で資産評価額も約4・3兆円膨らみ、投信の資産残高は2020年12月末時点で、前年比5・9%増の69兆6532億円となり、5年7カ月ぶりに過去最高を更新した。(今から始める投資信託)

     けん引役は、世界の株式を組み入れて運用する海外株投信だ。投資・運用情報会社のイボットソン・アソシエイツ・ジャパンによると昨年7月以降、純流入が6カ月連続で続き、年間では約3・6兆円に達した。債券を組み入れた投信や不動産投資信託(REIT)が苦戦する中、「独り勝ち」の様相を呈している(図1)。

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     中でも主役は、市場平均以上の運用成果を目指す「アクティブファンド」だった。海外株投信の純流入額の約7割を占める2・6兆円ものマネーを呼び込んだ。20年の純流入上位10本中9本はアクティブファンドが占めた(表)。

    「ESG、ハイテク」が人気

    好調な米国の成長株を背景に、海外投信にマネーが集中した (Bloomberg)
    好調な米国の成長株を背景に、海外投信にマネーが集中した (Bloomberg)

     1位は、アセットマネジメントOneの「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)」(通称「未来の世界(ESG)」)。昨年7月に新規設定され、国内投信市場で歴代2位の3832億円を集めて話題となったが、その後も資金流入が続いた。長期的な成長銘柄を、ESG(環境・社会・企業統治)の観点も加味して選定するのを特徴に掲げ、ESGに関連した投信ブームの火付け役ともなった。昨年末時点で組み入れ銘柄の約7割は米国株で、アマゾンやウーバーといったIT関連の成長株の比率が高い。

     2位の日興アセットマネジメントが運用する「デジタル・トランスフォーメーション株式ファンド(通称「ゼロ・コンタクト」)」は、世界の非接触型ビジネス関連の銘柄に投資するコンセプトだ。こちらも上位の組み入れ銘柄(昨年末現在)は、動画配信機器を手掛ける米ロクを始め、米フェイスブック、米ネットフリックスといったIT関連が目立つ。

    「売れ筋の傾向としては『ESG』『ハイテク・デジタル』『米国』の三つだ」と語るのは三菱UFJ国際投信商品プロモーション部の大島良介氏。米国の「GAFA」と呼ばれる巨大IT企業をはじめとしたIT関連銘柄が米国株を大きく押し上げる中、米国やESG、デジタルトランスフォーメーション(DX)を看板にこうした銘柄を組み込んで好成績を上げる海外株アクティブファンドが足元で人気を集めているというわけだ。

     対照的なのが、日本株で運用する投信だ。昨年4月以降9カ月連続で資金流出し、特に日経平均株価が大きく伸びた11月の純流出は最も多い約4600億円で、昨年1年で約1・6兆円が流出した。

     日本株の昨年1年の運用実績を見ると、年後半に海外株に引き離されたものの、年間リターン(昨年末時点)は年率約6%と堅調だった(図2)。にもかかわらず、日本株投信の解約が相次いだのはなぜか。イボットソン・アソシエイツ・ジャパンの小松原宰明チーフ・インベストメント・オフィサー(CIO)は「投資家が世界株の方により今後の利益成長を見込み、日本株から乗り換えたのでは」と見る。日本株は海外株に比べて先高感が持たれにくく、個人投資家の利益確定売りも出たと見られる。

     足元で人気を集める海外株アクティブ投信だが、今後も「買い」のファンドを見極めるには「選球眼」が必要だ。小松原CIOは「アクティブファンドを見極めるには、目論見書を読んで投資哲学を理解し、どんなファンドマネジャーがどんなプロセスで銘柄選択をし、投資哲学を反映したポートフォリオになっているかをチェックする必要がある。それが面倒なら、インデックスファンドを選んだ方がいい」と“安易なアクティブ買い”には警鐘を鳴らす。

    債券の妙味は低下

     新型コロナウイルスの収束が見込めない中、世界各国の中央銀行は当面は大規模な金融緩和を続ける公算が大きい。そうなると低金利が続き、米国債のような高格付け債券による投資妙味は低下、ポートフォリオにおける株式投資の重要性は増してくる。

     一方、足元の株高には過熱感も漂い、どこかで調整局面が訪れる可能性はある。こうした中、リスクを時間分散できる積み立て投資の存在感も高まっている。金融庁によると、少額投資非課税制度「つみたてNISA」からの買付額は20年は1~9月までで2638億円。このペースだと19年から倍増すると見られる。

    「ポストコロナ」も見据え、取れるリスクに応じ、「最適」と納得できるファンドを選びたい。

    (岡田英・編集部)

    (加藤結花・編集部)

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