教養・歴史 書評 『全員悪人』 村井理子著 CCCメディアハウス 1540円 2021年6月18日 『全員悪人』 村井理子著 CCCメディアハウス 1540円 見知らぬ女が家に入り、キッチンを占拠している。叱ってくるばかりの夫はまるで別人。健康なのに病院に連れていかれ質問攻めに……。認知症の義母の目線で日々の出来事を描いた本書を読むと、一見つじつまの合わない困った言動が、本人にしてみれば分からないなかで断片的な材料をつなぎ合わせて状況を認識しているのだと捉えられる。本人の戸惑いや不安、焦りを思うとやるせない。そこにつけ込む本物の悪人も。老いた人が増えるなか必読だ。(A) 前の記事 5月20~26日(フィクション/新書) 次の記事 アメリカ 型破りな俳優の自伝、ロングセラーに=冷泉彰彦 文字サイズ 小中大 印刷