【週刊エコノミスト創刊100年キャンペーン実施中】いまなら週刊エコノミストオンラインをお申し込みから3カ月間無料でお読みいただけます!

国際・政治論壇・論調

英トラスノミクスにくすぶる財政危機の懸念 増谷栄一

首相官邸を出るトラス英首相(2022年9月、ロンドン) Bloomberg
首相官邸を出るトラス英首相(2022年9月、ロンドン) Bloomberg

 トラス英新首相(9月6日就任)は高インフレに苦しむ英国経済を再生させる狙いで、1500億ポンド(約24兆5000億円)のエネルギー価格保証プログラムと300億ポンドの減税措置からなる「成長ダッシュ戦略」を発表した。首相の名にちなみ「トラスノミクス」と呼ぶ。

 戦略の一つに、国民が負担する電力とガスのエネルギー料金の上限を2024年までの2年間、現行の年間2500ポンドに凍結するエネルギー価格保証プログラムがあり、インフレを急速に低下させる可能性が高いと多くのエコノミストが歓迎する。その一方で、 英通貨ポンドは9月7日に続いて同16日にも、一時、ドルに対し1985年以来37年ぶりの安値(1ポンド=1.14ドル)に落ち込んでおり、通貨価値の維持に懸念が広がっている。

 クワーテング新財務相は、サッチャー元首相(在任1979~90年)の急進的な経済政策(サッチャリズム)に焦点を当てた政治史『サッチャーのトライアル』の著者として知られる。英紙『デイリー・テレグラフ』のジェレミー・ワーナー氏は9月13日付コラムで、「クワーテング氏は、経済を回復させるためのアイデアを求めて、ローソン元財務相(サッチャー政権の83~89年)の回顧録を読み返しているといわれるが、(成長ダッシュ戦略には)落とし穴があることに気付く必要がある」と戒める。

 ワーナー氏によると、ヒース元首相(在任70~74年)は所得税減税や低税率の付加価値税の導入、銀行システムの自由化を実施し、2年間で10%の年間成長率の達成を目標に掲げた。その結果、大規模な不動産バブルを引き起こし、バブル崩壊とインフレ上昇、公務員給与の引き上げ要求…

残り685文字(全文1385文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら3ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月13日号

論争で学ぶ 景気・物価・ドル円14 バブルは別の顔でやって来る ■熊野 英生17 鳴らないアラート 「経済の体温計」を壊した罪と罰 ■中空 麻奈18 対論1 米国経済 景気後退入りの可能性高い ■宮嶋 貴之19  景気後退入りの可能性は低い ■高橋 尚太郎20 対論2 日銀 23年後半から24年前半 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事