マーケット・金融

《商品投資》インフレ時は貴金属や農産物など上昇 小菅努

インフレ時は商品全体が上がる
インフレ時は商品全体が上がる

 インフレの要因になっている資源高。これがいつまで続くのか、見極めが必要だ。>>特集「インフレ時代の投資術」はこちら

景気後退時の値崩れに注意

 株式や外貨と異なる商品(コモディティー)は、一般投資家にとってなじみのある投資対象とは言い難いが、インフレに備えて金地金や金貨を購入することは、世界各地で古くから行われている伝統的な資産防衛である。

 現在は金以外にもさまざまな商品に直接投資する、もしくは商品価格に連動した金融商品が増えているため、機関投資家だけでなく、個人投資家でも貴金属や非鉄金属、エネルギー、農産物などに投資する動きが広がっている。

 例えば、商品を対象とした上場投資信託(ETF)は、証券口座を作れば株式と同様に売買できる。

 より積極的な投資家には、大阪取引所と東京商品取引所の先物取引があり、東京金融取引所も金・原油ETF証拠金取引をインフレヘッジの投資商品として宣伝している。商品先物取引はレバレッジ(テコ)の原理を応用して、少ない元手(資金)で多額の取引ができる仕組みだ。このため高収益を得ることがある一方、損失が出た場合は預けた証拠金では足りずにさらに追加の証拠金(追い証)を求められ、巨額の損を被る可能性があることに注意が必要だ。

景気との連動性が高い

 インフレ時代の投資先にどの商品を選ぶべきか迷う人も多いと思うが、過去のインフレ局面だと貴金属、金属、エネルギー、農産物のほぼ全てが同様に上昇する傾向がある。特に円安環境では、円建て商品価格全体が上昇しやすくなる。

 一方、現在の市況で注意が必要なことは、景気減速のリスクが高まっていることだ。インフレ環境はもちろん、インフレと景気後退が共存するスタグフレーション環境においても、商品価格は上昇する傾向がある。しかし、世界各国の積極的な利上げでインフレが鎮静化する一方で、景気後退が始まると、景気連動性の強いエネルギーや金属を中心に値崩れを起こすリスクがある。

(小菅努・マーケットエッジ代表)

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