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週刊エコノミスト Online ロングインタビュー情熱人

男女平等目指し75年 日本ユニセフ協会会長、赤松良子

「何よりも、平和は大事にしてほしいと思います」=東京・港区 撮影=武市公孝
「何よりも、平和は大事にしてほしいと思います」=東京・港区 撮影=武市公孝

赤松良子 日本ユニセフ協会会長/56

 女性に参政権が認められていなかった時代に生まれた赤松さん。幼い頃から世の不平等に疑問を呈し、後に、男女雇用機会均等法を立案するなど、後世に残る偉業を達成。現在も、日本ユニセフ協会の会長として活動を続ける。(聞き手=斎藤信世・編集部)>>これまでの「ロングインタビュー 情熱人」はこちら

── まだ、社会に男女差別が多く残る時代に、男女雇用機会均等法の立案に携わるなど、後世に残る偉業を達成されました。赤松さんはどのような生い立ちなのですか。

赤松 私は末っ子で、両親が年をとってから生まれた子どもだったので、とても家族に可愛がられて育てられました。父は洋画家で、私をモデルとした作品も描いています。ですので、1947年に上京し、津田塾へ行く時は、悲しそうでしたね。

 あの頃は、東京に行くのも大変だった時代です。戦後すぐだったので、列車には多くの復員軍人が乗っていて、窓から押し込んでもらい、やっと乗ることができました。最初は人が多くて足が床に着かなくて、ガタンゴトン揺れるうちに、やっと床に足が着いたんです。「ああ、床だぁ」と。それが東京行きの最初の思い出です。

 その後、津田塾を卒業後に東京大学法学部に進学しました。津田塾を卒業したら大阪に帰ってくると思っていた母はびっくりしていましたが、最終的には認めてくれました。

「『差別のない社会を作りたい』と思い、働くことを通じてそうした社会を実現しようと決めたんです」

── 東大卒業後は、国家公務員試験を受けて労働省(現厚生労働省)に入省されましたね。

赤松 国家公務員試験を女性が受けることができるようになって、3年目だったと思います。でも、世間はまだ、「へぇ、女がねぇ」なんて言う時代だったんです。それでも試験に合格し、そこから37年働き、気付けば、労働省婦人少年局長になっていました。

── なぜ、国家公務員になろうと思ったのですか。

赤松 子どもの頃は、末っ子でチビで、女の子ということもあり、あまり一人前扱いされなかったのです。子どもなので「差別」という言葉を知りませんでしたが、なんだか腹が立つんです。それで、「差別のない社会を作りたい」と素朴に思い、働くことを通じてそうした社会を実現しようと決めたんです。

── 依然として、世の中にはいろいろな種類の差別が残っていますよね。

赤松 はい、世の中にはさまざまな差別があります。国籍、人種、年齢、女性への差別。それは自分が女なので一番分かります。

── 赤松さんが働き始めた時代は、まだ男女差別が根強くあったと思います。

赤松 職業上の男女差別は強く感じました。国家公務員試験は結構、難しい試験なので、試験に受かれば男女の差別はないと思っていたのです。でも働き始めて、そうではないということがだんだん分かってきました。

 ですので、75年に女性で初めて山梨労働基準局の局長になった際は、新聞が取り上げてくれたんです。ですが、大学時代の男性の新聞記者の友人は、「本省で課長を務めたなら、もっと別の役職があるのに、お前も可哀そうだな」と言うんです。

 私自身は、山梨はワインがおいしいので楽しんでいましたが、キャリアにおける男女差別は確かにある時代でした。その後も「女性初」といわれる役職に就くことがありましたが、「女だから、ああだこうだ」と言われる経験は多くありました。

 子どもの頃から、働く女性に憧れていたという赤松さん。男女差別が色濃く残る時代に役人として働く中で、「差別をなくしたい」という思いが強まったという。82年に婦人少年局長に就任後は、男女雇用機会均等法の立案に携わり、85年に同法が制定され、86年に施行された。均等法は改正を繰り返しながら、現在も労働者の礎となっている。

後生に残る均等法

── 労働省では、婦人少年局でのお仕事が長いですね。

赤松 出たり入ったりしていましたね。40歳で婦人課長になった時は、仕事が楽しかったです。給料も増えました。課長補佐時代は、苦労ばかりで面白くありませんでしたが、課長になってみると、随分と視野が広がりました。世の中、何でもそ…

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