時間割SNSで学生生活を変革――横山直明さん
ペンマーク代表取締役社長 横山直明
時間割管理のSNSアプリで学生の「学び」を支え、つながりを作る。(聞き手=市川明代・編集部)
学生生活に欠かせない時間割管理と学生間のコミュニケーション機能を一元化したSNSアプリ「Penmark(ペンマーク)」を開発・運営しています。
大学入学時に学生が真っ先にやらなければいけないのは履修登録です。でも、この時点ではまだサークルも決まっておらず、友達もできていない。どの教授の授業が面白くて、どの授業が自分のためになるのか、情報収集できずに戸惑います。Penmarkは、各大学のサイトからシラバスデータをクローリング(ウェブサイトから情報を自動収集すること)して組み込んでいます。例えば「水曜日の1限」をタップすると、該当する授業の情報がずらりと表示され、過去に履修した先輩たちの口コミ情報を閲覧しながら、自分の時間割を作っていくことができます。
授業が始まったら、課題提出や出席率も一括管理。さらに、同じ科目の履修者同士がつながる「授業トーク」で「先週休んだので課題内容教えてもらえませんか?」といった情報交換をすることもできるのです。
現在約750大学のシラバスに対応しています。慶応義塾大学生の8割に当たる約2万2000人が利用しているほか、明治、青山学院、立教など首都圏の私立大学を中心に利用者が広がっています。早稲田大学の学生団体が作った時間割アプリ「わせコマ」(早稲田大学生の8割が利用)や、個人が作ったアプリ「大学生のための時間割」も当社が買収し、運営しています。現時点で約50万人の学生が当社の時間割アプリを利用していることになります。
強みは、大学生という将来性のあるマーケットを握っていること。アプリ内に表示される企業広告のほか、大学近くの賃貸物件を検索できる「Penmark 賃貸」や大学名からアルバイト探しができる「Penmark バイト」など、企業と連携した情報サービスで収益を得ています。
前澤ファンドから資金調達
時間割アプリ開発のきっかけは、自分自身が入学時に感じた学生生活への不安でした。体育会系学部や伝統のあるサークルは、先輩から後輩へと情報が引き継がれる仕組みが出来上がっていますが、私が所属していたテニスサークルには、それがありませんでした。情報格差をなくそうと学内ウェブメディアを立ち上げましたが、情報量を充実させるには限界があると感じ、みんなに投稿してもらえる時間割アプリを作ってはどうかと考えたのです。
ウェブメディアの広告主から個人的に出資してもらって法人化。2019年3月に慶応大生用のベータ版(試用)アプリを作ると1カ月で利用者が1万人を突破し、事業として成り立つと確信しました。20年春に100大学でサービスを展開しようと宣伝し始めたところで、新型コロナが発生しました。
すぐに追加資金を調達しないと会社そのものが危うい状況で、ベンチャーキャピタルを回る中、話が進んだのが、冬場に応募していた前澤友作氏率いる「前澤ファンド」でした。総額約4.7億円を調達することができました。
目下、アプリ上での資料共有の仕組み作りや大学生協との提携に向けて準備を進めています。
企業概要
事業内容:履修管理SNSアプリ「Penmark」の開発・運営
本社所在地:東京都目黒区
設立:2018年12月
資本金:8億6811万円(資本準備金含む)
従業員数:20人
週刊エコノミスト2023年3月28日号掲載
挑戦者2023 横山直明 ペンマーク代表取締役社長 時間割SNSで学生生活を変革