資本主義は際限なき欲望の解放=小野塚知二
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人類は自然災害や老・病・死などの納得しがたい不幸や災厄を説明するために、「神」などの超越的な意思の作用を想定してきた。また、老いや死を避け難い「定め」として受け入れる一方で、永遠不滅性を追求してきた。朽ち果てず、光り輝き続ける貴金属や宝石を永遠不滅性の象徴として尊重してきたのはその表れである。
人類は貨幣の発明以来、貴金属を貨幣の本体、あるいは紙幣の裏付けとしてきた。あらゆる生命が必ず朽ち果てるがゆえに、逆に光り輝き続けるものに価値を見いだしたのだ。それが貨幣に価値を付与してきた。
第一次世界大戦前の国際金本位制はその最も完成された形態であった。第一次世界大戦以降も、金本位制は不安定ながらも断続的に維持されていた。そして、第二次世界大戦以降は、金と交換されるのはドルのみになったものの、各国通貨がドルと交換されることを通じて、紙幣はかろうじて金という裏付けを保ってきた。
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週刊エコノミスト
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