教養・歴史特集

歴史に学ぶ経済と人類 ローマ史 変容する米国、ローマ衰亡史の座視 寛容性喪失で色あせる大国の権威=本村凌二

    古代ローマ市民に提供された「パンとサーカス」の舞台となった円形闘技場、コロッセオ(筆者提供)
    古代ローマ市民に提供された「パンとサーカス」の舞台となった円形闘技場、コロッセオ(筆者提供)

     すっかりなじみになったが、デジャヴー(既視感)という言葉がある。大英帝国と現代のアメリカの覇権は一続きの世界帝国のようであり、この勢力は300年以上にわたって勝者の側にあり、その勝利の歴史が今日にいたる世界を形成してきたのだ。しかも、それがかつてのローマ帝国の覇権とどこか重なって見えるのだから、まさしくデジャヴーなのだ。

     17世紀半ば、クロムウェル護国卿はイングランド議会で演説し「われわれの敵は国の内外を問わず、この世界の邪悪な者たちすべてである」と語った。なかでも大敵はスペイン人だった。1983年には、アメリカ大統領レーガンは「ソ連は現代世界の悪の中心である」と糾弾している。

     このような邪悪な勢力との戦いに、アングロ─サクソンの英語圏は地政学的国家戦略をもって臨む。それは首尾よく圧倒的な「海洋の力」であった。かつて古代のローマ人がカルタゴ海軍に勝る海洋戦力を築いたように、17世紀のオランダは貿易・投資・軍事力のシステムによる海洋国家秩序を開発していた。それ以後、400年の世界史は、この海洋国家秩序の主導権が、オランダからイギリスへ、やがてアメリカへと移ったという物語に…

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