2・9兆円投資で、出生率2・07到達の可能性 労働生産性上昇と…=柴田悠 本誌版「社会保障制度審」第10回
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労働生産性上昇と子どもの貧困率低下も
本誌8月14・21日合併号の前編を受けこの後編では、日本の出生数を左右する「3大要因」(労働時間、高等教育費、保育所定員)に焦点を絞り分析を進める。そのうえで「それら3大要因がいつまでにどの程度改善されれば、日本社会の持続可能性が十分に高まるのか」を、先進諸国の国際比較時系列データを使って検討する。
- <「労働時間」「教育費」「保育」が鍵 少子化克服へ「結婚・出産」の増加要因検討=柴田悠 本誌版「社会保障制度審」第9回>
- <保育サービスの一段の拡充を 非正規雇用是正と男性育児参加もカギ=阿藤誠 本誌版「社会保障制度審」第16回>
- <超少子化の背景に四つの複合要因 根強い男女役割分業的な価値観=阿藤誠 本誌版「社会保障制度審」第15回>
- <結婚と出生先送りが負のスパイラル 出生率低下の8割は初婚行動に起因=阿藤誠 本誌版「社会保障制度審」第14回>
- <少子化克服へ「5本柱」を総合展開 在宅支援含めた「家族政策」へ転換を=増田雅暢 本誌版「社会保障制度審」第13回>
- <2006年の35年ぶり出生率反転 妊娠・出産時の費用負担軽減が奏功=増田雅暢 本誌版「社会保障制度審」第12回>
- <「1.57ショック」以下の出生率 団塊ジュニアへの楽観が裏目に=増田雅暢 本誌版「社会保障制度審」第11回>
もちろん本来は、日本社会の持続可能性の条件については、日本国内のデータを使って検討すべきだろう。にもかかわらず先進諸国のデータを使うのは、日本国内のデータが不足しているからだ。とくに高等教育費への公的補助は、基本的に国内一律の制度で行われており、自治体ごとでの差異がないため、国内のデータだけでは効果を検討しづらい。そのため次善の策として、先進諸国のデータを使うこととする。その際に日本特有の傾向も…
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週刊エコノミスト
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