教養・歴史書評 読書日記

ブレイディみかこの読書日記 エリートよりピープル 勝つために転換せよ

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     英国に移住して22年目のわたしにとり、北田暁大著『終わらない「失われた20年」 嗤う日本の「ナショナリズム」・その後』(筑摩選書、1700円)は、自分が不在の間に祖国で何が起きていたのかを教えてくれる貴重な一冊だ。

     日本で「リベラル」という言葉が浸透したのは民主党政権が誕生したときだったとか、そのためそれが「自民党的ではないものの寄せ集め」という独特な意味を持つようになってしまったとか、海外在住者には目から鱗(うろこ)だ。この日本型リベラルから欧州型のソーシャル(社会的)な部分が霧消してしまったことが現在の野党の迷走につながっていると著者は警告する。

     日本型リベラルが標榜(ひょうぼう)したものは、エスタブリッシュメントによるクリーンで寛容な都市政党だった。それはソーシャルなポリティクスのソウルとも言える人的資源への公共投資を「自民党的バラマキ」と否定し、多様性や社会包摂の理念のみをリベラルの進むべき道として受け取ってしまったと著者は指摘する。

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