小説 高橋是清 第13話 箱屋是清=板谷敏彦
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(前号まで:将来を嘱望される是清は森有礼の計らいでフルベッキの書生となり、大学南校で語学を教える高給取りになった。しかし初めての料亭体験に衝撃を受け、たちまち芸者遊びにのめりこむ。)
是清はフルベッキ邸を出て、本銀町(ほんしろがねちょう)にあった古着商福井数右衛門の奥座敷に居を移した。
その頃仲良くなったのが、長崎で修行し大学南校にいた越前福井藩士山岡次郎である。山岡は明治4(1871)年4月、ちょうど是清が数右衛門の家に引っ越したすぐ後に、福井藩推薦留学生として米国へと旅だつことになっていた。
そのため、是清は送別会と称して飲みに出る材料にはこと欠かず、数右衛門の斡旋(あっせん)で夜な夜な柳橋、日本橋へと繰り出した。
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週刊エコノミスト
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