小説 高橋是清 第12話 三人組=板谷敏彦
有料記事
明治3年12月4日(1871年1月24日)、米国弁務公使に任命された森有礼(ありのり)が日本を発った翌日のことである。是清はいまだ16歳。
「高橋先生、来客でございます」
グイド・フルベッキ邸の門番が部屋に名刺を届けにきた。是清はフルベッキ邸の書生であるが、大学南校で語学を教える立場でもある。名刺は大学南校の生徒3人のものだった。うち2人の姓は本多、福井藩家中の名門である。
「先生には、お願いの儀あって、参上いたしました」
残り2518文字(全文2730文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める