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教養・歴史 Book Review

『中央銀行 セントラルバンカーの経験した39年』 評者・池尾和人

著者 白川方明(青山学院大学特別招聘教授) 東洋経済新報社 4500円

総裁自ら回顧・思考する セントラルバンクの使命

 本書は、白川方明・前日本銀行総裁による中央銀行とその業務をめぐる思索の結果をとりまとめたものである。この思索は、著者の中央銀行員・総裁としてのさまざまな経験を踏まえたものである。それゆえ、回顧録という要素を含まないわけではないが、内容の中心は中央銀行の使命とその業務の意義についての真摯(しんし)で多面的な考察からなっている。

 内容は、大きく3部から構成されている。第1部「日本銀行でのキャリア形成期」は、著者が1972年に日銀に入行して以降、総裁就任前までの時期をとりあげている。この時期には、バブルの生成と崩壊があり、その後に不良債権問題と経済低迷の長期化が続いた。

残り856文字(全文1200文字)

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