歴史書の棚 多角的な日米安保体制へ 是正と新たな構築問う=井上寿一
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戦後長らく左右両翼、リベラルと保守の両政治勢力から政府の「対米従属」姿勢が批判され続けた。今もそうである。石原慎太郎『日本よ、完全自立を』(文春新書、850円)は、保守の側からの代表的な「対米従属」批判論だろう。同書はアメリカから武器を購入するよりも、日本製の武器を開発・装備することの重要性を強調する。自主防衛論の立場からすれば当然だろう。
他方で戦後の日本国民は、このような「対米従属」批判にもかかわらず、原理的には矛盾するはずの平和憲法と日米安保条約を受容し続けて今日に至っている。なぜ平和憲法と日米安保条約に基づく戦後体制は続いているのか。吉次公介『日米安保体制史』(岩波新書、860円)が考える手がかりを与えてくれる。
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