歴史書の棚 中国では出版不可能? 激越な神話解体を読む=加藤徹
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オルドス高原は、黄河上流の「π(パイ)」字形の屈曲部にある。エーデルワイスの花が咲く、遊牧民族にとっては豊かな楽園だった。
楊海英『モンゴル人の中国革命』(ちくま新書、940円)は、二十世紀のオルドスの惨劇の歴史を描く。著者はオルドス生まれのモンゴル人で、幼少期に文化大革命の混乱を経験。現在は静岡大学教授をつとめ、旧来の「中国史」の常識を破る著書を次々と上梓(じょうし)している。
オルドスは、古代の匈奴(きょうど)の勃興以来、アジアの要衝だった。中国人も、近代のロシアや日本も、オルドスを狙ったことがある。が、自由を尊ぶモンゴル人のオルドスを攻め落とすことは、できなかった。
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週刊エコノミスト
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