教養・歴史歴史書の棚

歴史書の棚 中国では出版不可能? 激越な神話解体を読む=加藤徹

 オルドス高原は、黄河上流の「π(パイ)」字形の屈曲部にある。エーデルワイスの花が咲く、遊牧民族にとっては豊かな楽園だった。

 楊海英『モンゴル人の中国革命』(ちくま新書、940円)は、二十世紀のオルドスの惨劇の歴史を描く。著者はオルドス生まれのモンゴル人で、幼少期に文化大革命の混乱を経験。現在は静岡大学教授をつとめ、旧来の「中国史」の常識を破る著書を次々と上梓(じょうし)している。

 オルドスは、古代の匈奴(きょうど)の勃興以来、アジアの要衝だった。中国人も、近代のロシアや日本も、オルドスを狙ったことがある。が、自由を尊ぶモンゴル人のオルドスを攻め落とすことは、できなかった。

残り612文字(全文902文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事