国際・政治東奔政走

アベノミクス最優先が生んだスカスカ政策 「70歳年金」も「入管法改正」も=平田崇浩

参院予算委員会で安倍晋三首相と話す茂木敏充経済再生担当相(右)。全世代型社会保障改革担当も担うが、根本的な見直しの動きは見えない(11月5日)
参院予算委員会で安倍晋三首相と話す茂木敏充経済再生担当相(右)。全世代型社会保障改革担当も担うが、根本的な見直しの動きは見えない(11月5日)

「全世代型社会保障って70歳年金のことだから。この政権は全てが先に結論ありき。全世代型の肉付けは全部これからですよ」

 先日会った経済官僚の言葉が耳から離れない。

先に結論ありき

 人生100年時代に備え、全世代型社会保障制度改革を3年で断行する。9月の自民党総裁選で安倍晋三首相はそう宣言したはずだ。

 消費税率10%への引き上げを2度にわたって延期してきた首相も、今度こそは腹をくくったのだとは思う。来年10月の消費増税を予定通り行うからには「税と社会保障の一体改革」を前に進めなければならない。総裁3選後の新たな任期3年で、超少子高齢化に対応した持続可能な社会保障制度の構築に責任を持ってくれるのではないかと期待した。

 しかし、10月の内閣改造で茂木敏充経済再生担当相を全世代型社会保障改革担当に任命した後も、社会保障制度全般を見直す動きは見えてこない。いや、経済再生と社会保障改革を兼務させたところに、首相の思いがにじんでいると考えるべきなのだろう。あくまでアベノミクスの成果をあげることが最優先。経済がうまくいっていなければ、国民の税金や保険料で賄う社会保障も揺らぐ。

残り2020文字(全文2505文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

3月19日・26日合併号

株価4万円突破! 勝つ投資16 新NISAで歴史的高値到来 時間を味方にしっかり分散■編集部19 インタビュー 代田秀雄 三菱UFJアセットマネジメント常務 アクティブ偏重に疑問 低コストにこだわり19 使わなきゃ損! 投資非課税の新NISA 無期限化と枠拡大&復活■編集部20 新NISA 日本株、 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事