国際・政治東奔政走

日露交渉における「プーチンの壁」「トランプの壁」とは?=及川正也

     北方領土交渉が大きく前進するのではないか──。安倍晋三首相とプーチン露大統領は11月14日の会談で1956年の日ソ共同宣言を基礎に交渉を進めることで一致し、約2週間後の12月1日には日露外相を責任者とする新たな交渉の枠組みに合意した。戦後70年以上残されてきた課題を「私とプーチン氏の手で必ずや終止符を打つ」と強調する首相。進展を期待しながら、「1ミリ」も動かなかった山口県の「長門会談」から約2年。失意の底から再び前へと動き出すサインは、ロシア側から送られてきていた。

    「これをお土産に持ってきました」。シンガポール会談から約8カ月前の3月21日、来日したロシアのラブロフ外相は河野太郎外相に額縁に入った白黒写真を手渡した。56年10月、モスクワにある迎賓館の部屋で机に向かう鳩山一郎首相と、そばに立つ河野外相の祖父、河野一郎農相の姿があった。そろって書類を読んでいる様子が分かる。

     鳩山、河野両氏が平和条約交渉のため訪ソしていたときの1コマをカメラに収めたものだが、このときは北方領土交渉が難航し、平和条約のとりまとめには至らなかった。代わりに、鳩山首相とソ連のブルガーニン首相が署名した日ソ共同宣言は、戦争状態の終結とともに、「平和条約締結後に歯舞群島と色丹島を日本に引き渡す」ことが明記された。

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