過剰な増税対策は景気の谷を深める=斎藤太郎
政府は、2019年10月に予定されている消費税率の引き上げが経済に影響を及ぼさないよう政策を総動員する方針だ。具体的な対策は、軽減税率の導入、幼児教育無償化、キャッシュレス決済に対するポイント還元、プレミアム商品券、自動車減税、国土強靭(きょうじん)化対策など多岐にわたっており、その規模も前回増税時(14年度)を大きく上回っている。
これにより消費税率引き上げによる経済への影響は前回に比べて小さくなることは確実だ。増税前後の駆け込み需要とその反動も前回を下回るだろう。もともと、買い替えサイクルの長い住宅、自動車は前回の増税前に購入した世帯が多いことなどから、駆け込み需要はそれほど大きくならないと思われていたが、増税対策の拡充によってその可能性はより高くなった。ポイント還元や自動車減税などは増税前の買い控えをもたらす恐れすらあ…
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週刊エコノミスト
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