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インド オンライン参拝盛況=成田範道

例年大勢の人々が参拝に押し掛けにぎわうが、今季はその姿が消えた (Bloomberg)
例年大勢の人々が参拝に押し掛けにぎわうが、今季はその姿が消えた (Bloomberg)

 5月15日、ヒマラヤ4大聖地の一つ、ガンジス川上流にあるヒンズー教のバドリナート寺院が今季の巡礼シーズンに向けてオープンした。例年なら大勢の巡礼客でにぎわうが、今年は新型コロナウイルス対策によるロックダウン(都市封鎖)で巡礼は禁止され、人影もない。

 バドリナート寺院のウェブサイトでは、巡礼は禁止だが信者はオンラインで儀礼に参加できるという案内があり、上は数万ルピー(数万円)もする灌頂(かんじょう)儀礼から下は数百ルピーのお布施まで詳細な価格表が掲載されている。希望者はオンライン登録し、儀礼への参加やお布施ができる。支払いはカード決済だ。

 インドでは近年、テレビやオンラインを通しての布教活動が活発化。「テレビ説教師」などが登場し、テクノロジーと宗教の結びつきは珍しいことではなくなった。由緒正しいバドリナート寺院までもが、テクノロジーを取り入れ、イスラム教、シク教、キリスト教など他の宗教でもオンライン化は進んでいる。ロックダウンにあっても信者の求めに応えたいという宗教的情熱の一方で、本音はお布施の減少を防ぐための苦肉の策でもあるようだ。果たしてこのオンライン参拝、ロックダウン後も定着するのだろうか。

(成田範道・在インド翻訳家)

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