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金銭的な不安から逃れたいならお金持ちを目指してはいけない=立沢賢一(元HSBC証券会社社長、京都橘大学客員教授、実業家)
身の丈以上のお金を手にすると人はどうなってしまうのか
一般的に、大金を持ってしまうと人は変わると言われます。
世界中で巨額の宝くじが当たった人達の追跡調査をすると、早死にしてしまったり、家族がバラバラになってしまったり、犯罪に巻き込まれてしまったり、と不幸な末路になる比率がかなり高いことが判明した、と言われています。
何故でしょうか?
それは自分の身の丈に合わないお金が口座に入金され、お金に支配されてしまう人生がそこから始まってしまうからなのです。
外資系証券会社に勤務していた頃、有能な部下がボーナスで身の丈以上の金額を手にしてしまい、その後、人格が変わってしまい、最後には懲戒免職で会社を去ることになってしまったという悲しい経験を私はしています。私が評価して支払ったボーナスで有能な部下を失ってしまったのは今でも心残りです。
本当にお金は人を変えてしまうのでしょうか?
私は仕事上、ダイヤモンドの検品の際に、ルーペを使ってダイアモンドの傷や輝きや煌めきを見ます。何故なら、ルーペを使わないと、全てのダイアモンドが同じ様に見えてしまい、一つ一つのダイアモンドの良し悪しの判別ができないからです。ルーペはダイアモンドを10倍の大きさで見る事を可能にしてくれます。すると、一つ一つのダイアモンドの特徴や性質が明瞭になるのです。
私は、常日頃からお金がダイアモンド検品におけるルーペ的な役割を担っているのではないかと思っています。
つまり、ダイアモンドでいう特徴や性質は人間でいう性格に当たります。性格は先天的なものもあれば、後天的に身に付けたものもあります。その性格がお金というルーペによってより緻密に見えてくると言えるのです。
強欲な人がお金を持つと、もっと強欲になります。
寛大な人がお金を持つと、もっと寛大になります。
結局、私の持論では、お金を持たないのがベストです。
持つべきものはお金ではなく長期運用資産です。私たちは長期運用資産を保有しても生活水準は変わらないからです。
長期運用している資産は直ぐに換金しない資産ですから、「お金持ち」になった気には全くなりません。ですから、資産を持つことで多くの大金を手にした人達のように自分を失うリスクもないです。
そうして、時間の経過と共に、複利効果も相俟って資産は増えるのです。
私は常日頃から「お金を遊ばせるな。お金には汗水流して働いて貰うのが一番」と申し上げています。普通預金口座でぬくぬくと遊んでいるお金を見ると腹が立つほどです。
皆さんも是非、お金持ちではなく資産持ちになって金銭的不安のない人生を歩む準備を1日も早くするよう心掛けましょう。
立沢賢一(たつざわ・けんいち)
元HSBC証券社長、京都橘大学客員教授。会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、ゴルフティーチングプロ、書道家、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資家サロンで優秀な投資家を多数育成している。
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