急速充電で用途が広がる GaNパワー半導体=津村明宏/44

スマートフォンをはじめとするモバイル機器の充電器で、最近よく目にするのが「GaN搭載」の文字だ。このGaNとは「窒化ガリウム」という化合物を指し、要するにGaNを用いたパワー半導体が搭載されていることを意味する。このGaNパワー半導体を搭載している充電器は、従来品よりも速く充電でき、充電器本体も小型化されていることが特徴で、商品の差別化キーワードになっているのだ。
GaNパワー半導体は、シリコンウエハー上にGaNを成膜して製造されるため、正確にはGaN on Siliconパワー半導体と呼ばれる。一般的なパワー半導体はシリコンのみを用いて製造されるが、GaNはその物性上、シリコンでは実現できない性能を出すことができる。GaNはシリコンに比べて理論上、電力損失を示す「オン抵抗」を同じサイズなら3桁も小さくすることができ、高速なスイッチングを実現することができ…
残り3099文字(全文3483文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める