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マーケット・金融

2021年には800万も?ビットコイン価格に天井はあるのか

代表的な仮想通貨(暗号資産)であるビットコインは年明けに急騰したが、あれはバブルだったのか。

2020年3月のコロナショックで50万円を割れたビットコイン相場は5月には100万円台を回復した。この時の原動力になったのがインフレヘッジと半減期だ。

各国政府は史上最大の財政出動を発動し、中央銀行も最大規模の金融緩和で人々の暮らしを支えたが、米国を中心に、このオペレーションに不安を持つ人たちが出始めた。

4月ごろには米ヘッジファンド、ルネッサンス・テクノロジーズなどがインフレヘッジとしてビットコインの購入を始めた。翌5月にはヘッジファンド界の重鎮であるポール・チューダー・ジョーンズ氏が、「グレート・マネタリー・インフレーション」と題する市場見通しの中で、傘下のファンドの数%をビットコインに割り当てたことを明らかにしている。

こうしたインフレヘッジの動きは米国内で広がり、夏場にかけて金やハイテク株などさまざまな資産が買われる相場展開が続いた。

秋ごろにはインフレヘッジとして金とビットコインのどちらが優れているか議論され、投資家のジョージ・ソロス氏の右腕とされたドラッケンミラー氏などが、インフレになった場合、値動きの激しいビットコインの方がより値上がりするので、ヘッジとして資金効率が良いとの考えを示した。

機関投資家が参入

コロナ前のビットコイン価格の上昇は、主に個人投資家の熱狂によるものだと言われていたが、コロナをきっかけに米国から機関投資家が参入し始め、価格上昇をサポートするようになった。

最初はフットワークの軽いヘッジファンドから始まり、夏から秋にかけてはデータ分析を手がけるマイクロストラテジーなどの事業法人や保険会社マスミューチュアル、また欧州の複数のファンドにも広がりを見せ始めた。

21年1月に入ってからは、資産運用会社ブラックロックがビットコインを投資対象に加えたほか、ハーバード大学やエール大学など複数の有力大学もビットコインを購入したと報じられた。

法人マネーの流入がドミノ倒しのように広がり、異様ともいえるビットコインの上昇相場を形成した。

もう一つ、今回の上昇相場を演出した要因に20年5月の半減期がある。

半減期とはマイナー(採掘者)に支払われる報酬が半分になることだが、同時にマイニング(採掘)されるビットコインの供給量が半分になることも意味する。

ビットコインの価格を緩やかに上昇させていくために、この半減期は当初からプログラムされていたが、こうしたプログラムの特性が、無制限な法定通貨の発行に対しインフレヘッジとしての性格を与えていると指摘する声もある。

加えて、年明けにはジョージア州の上院決選投票を民主党が制し、バイデン新大統領の1・9兆ドル(約200兆円)の追加景気対策が実現する可能性が高まった。

パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、テーパリング(量的緩和策による金融資産の買い入れ額を順次減額)を議論するのは時期尚早だと金融緩和を継続する方針を示している。

そのため、インフレヘッジの必要性は今年に入ってむしろ高まっているのだ。

金の代替需要

気になるのは今年のビットコイン相場がどこまで上昇するかという点だろう。

当社では年後半に800万円でピークを付けて、500万円に反落して年末を迎えると予想している。

投資家層の裾野拡大と、金からの代替需要が追い風となるためだ。世界の個人マネーと法人マネーは同等程度あるため、ビットコインの時価総額が約2倍になると想定すれば、発行総数はあまり変わらないので20年12月時点の200万円をスタートとすると400万円となる。

金からの代替需要については、金の時価総額が20年12月時点でビットコインの時価総額の約30倍なので、インフレヘッジ需要によりビットコインが金のシェアを3~6%程度奪えると仮定した場合、価格にして200万~400万円上昇する計算だ。

すなわち、投資家の裾野拡大により400万円上昇、そこに金からの代替需要で200万~400万円プラスされると、ビットコインは600万~800万円程度まで上昇するという見立てだ。

供給サイドはどうか。

12年と16年の半減期の後、1年~1年半後のピークにそれぞれ100倍と30倍に上昇した。

この倍率が今回は9倍になると予想している。つまり半減期時が90万円なので、ピークで810万円になると試算する。

世界の金融資産は有限で、発行総額が大きくなるにつれて、供給が半分になる影響も小さくなる。

仮に半減期を経るたびに上昇率が等比級数的に減っていくとすると、前回の30倍が100分の30になると仮定して9倍と予想する。半減期を経るたびに上昇率が下がる可能性が高いからだ。

こうした需給両面から考えると、ピークが800万円、年末に500万円で着地すると予想する。

経済正常化で下落局面へ

では、いつピークが来るのか。

これは新型コロナのワクチン接種が進み、国境を超えた人の往来が復活し、経済が好転した時だと考える。

非常時である今は、過剰流動性が資産インフレを引き起こしても、FRBは金融緩和で法定通貨を供給し続けている。

しかし、コロナの脅威が一巡し経済が上向き始めると、FRBは金融政策の副作用を気にし始めるだろう。そうすれば年後半のどこかのタイミングで、債券購入額の減額を検討し始める。

その場合はインフレ懸念が後退するので、インフレヘッジの必要額が減り、機関投資家が売りに回るといったシナリオを考えている。

ただし、この予想はあくまでインフレヘッジが杞憂(きゆう)に終わるケースを想定していて、もし先進諸国のどこかでハイパーインフレのような事態が生じれば、ビットコインの上昇もこの限りではないと考える。

(松田康生・FXcoinシニアストラテジスト)

(本誌初出 2021年ビットコイン相場 年後半に800万円でピーク=松田康生 20210223)

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