教養・歴史 書評 『貿易の世界史』 福田邦夫著 ちくま新書 1000円 2021年3月5日 『貿易の世界史』 福田邦夫著 ちくま新書 1000円 トランプ前米大統領と習近平中国国家主席の衝突で注目された国際貿易。研究者がその歩みを大航海時代までさかのぼって描いた力作だ。欧州諸国の植民地拡大競争や奴隷貿易、米国の覇権などを基に、貿易とは今も昔も取引に加わった双方に利益をもたらすものではなく、利害が激しく対立する“戦場”であると主張する。多国籍企業と国が富の獲得を争う現代の姿を見ると、著者の指摘通り、「自由貿易は善」の単純な論調に疑問を呈したくなる。(W) 前の記事 『経済学の堕落を撃つ』 中山智香子著 講談社現代新書 1000円 次の記事 「色覚異常」の著者が探る 時に痛快なノンフィクション=高部知子 文字サイズ 小中大 印刷