教養・歴史 書評 『震災復興の地域社会学』 吉原直樹著 白水社 3700円 2021年3月5日 『震災復興の地域社会学』 吉原直樹著 白水社 3700円 あの3.11から今月でちょうど10年。都市社会学者の著者は、福島県大熊町の被災者の集まる仮設住宅に隔週で通い続けてきた。そこで気付いたのは、被災者は意外に冷めていて静かなこと。しかしそれはあきらめではなく、「悲しみをどこまでもみきわめ、嘆きを決して手放さない強靭(きょうじん)さ」だ。復興を声高に叫ぶ政府や社会のほうこそ、実は早く震災を忘れたがっていることを看破し、個々の被災者に寄りそうとはどういうことかを考え続ける。(K) 前の記事 『経済学の堕落を撃つ』 中山智香子著 講談社現代新書 1000円 次の記事 「色覚異常」の著者が探る 時に痛快なノンフィクション=高部知子 文字サイズ 小中大 印刷